天使のうた
」のレビュー

天使のうた

西田東

魂持っていかれそうに…

ネタバレ
2025年9月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 以前島で(熱く)お勧め頂いた作品。ようやく読めました。
何から書いていいやら…とんでもないもの読んじゃったなと。

「音楽なんかあてにするな」と言うクリス。
彼を見ていると、同じく音楽を心から愛しているだろうにクリスよりもっと強い言葉で「音楽なんて◯◯だ」と言い放ったアーティスト2人が思い起こされ、そのうちの1人がクリスと被って仕方なかった。同じ名前の仲間もいたし。西田先生にその意図はなかったと思うけど。

こんな激重テーマを最後まで読むことが出来たのはやはりミシェルの存在よね。彼も相当辛い思いを経験したけど何であんなコミカルなんだろう。同じことがアレックスにも言える。なんならクリスにも言える。皆、自身が負った事実だけを見ればいつ潰れてもおかしくないのに、3人の強靭な精神力には感服する(ひいては西田先生の筆致)。それでもクリスの闇深さは誤魔化そうとしたって到底無理なほど壮絶で、2巻はもう言葉を失いっぱなしだった。

最後の最後までこれはどうなってしまうのとページを捲るのが怖いのに止まりませんでした。特にミシェルとの情事の際のことは、毛細血管破れるんじゃないかってくらい私の目は見開かれました。呼吸も浅くなったしちょっと待って嘘でしょと。
いつもピンチの時にミシェルに降り注がれる優しいマリーの声。彼女もミシェルにとっての天使ですよね。

クリスこれまで一人でよく頑張った。彼の生い立ちを思えば逆によくぞアレックスを守ってくれたと抱きしめたい気持ちでいっぱい。それがアレックスにも伝わっているのが何より嬉しい。悪夢の連鎖を断ち切ってくれてありがとう。そして今は1人じゃない。ミシェルありがとう。
正直言ってこんな希望的なラストを迎えられるとは思っていませんでした。先生他の結末も用意していたとかありませんか?私は覚悟してましたよ。それはそれで作品としては傑作になったと思う。でもやっぱり幸せな気持ちで終わるのが一番嬉しいから西田先生ありがとう!
読後いても立ってもいられず感情の赴くまま書いたもんで読み辛いレビューになっていたらすみません。
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