このレビューはネタバレを含みます▼
大島かもめ先生の作品なので面白くないはずがない!という、期待通りの良作です。
主人公は日仏ハーフのイケメンながら、過去のトラウマにより自分に自信を持てない「心も身体も猫背」な新井ジョージ。
イケメン最強でイケメンが正義でもあるBL漫画界で、「イケメンであるがゆえの苦労」にことごとく晒されてきた主人公が、「イケメンゆえの生き辛さ」を抱えているところが、非常にオリジナリティのあるストーリーとなっています。
それと同時に、読者の共感を得るシーンも多々あり、例えば、
「自分の容姿を褒められた時に、どう答えるのが正解なのか…」
という場面では、(容姿のみならず)多少なりとも心当たりのある方は多いと思うので、そういった、大人が共感するシーンがところどころあるのも、この作品の醍醐味です。
特に大きな事件は起こらないし、ドラマティックな展開がある訳でもない、しかし小さな偶然とさりげない優しさに包まれている、日常の延長線上にある恋。
その恋に触れ、主人公が次第に前向きに進んでいく。
そんな穏やかな幸せを感じる物語です。