スキルをなくした騎士様と俺
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スキルをなくした騎士様と俺

もちた/朝陽天満

一途な最強騎士と貧弱スキルの魔術師

ネタバレ
2025年10月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最強騎士とショボイ魔術師のラブストーリー 208頁 星☆3.8

ここは生を受けた人間が齢9歳で「スキル」を授かる世界。孤児出身のミルが得たのは『復活』というレアスキル。しかし微弱な魔力のため安い依頼料しか稼げないギリギリの生活。貧しさから体は細く小さい。魔術系が所属する魔術師協会に、アントレイト侯爵家の三男・シオンがやってくる。彼は『魔剣』のスキルを持ち、国内屈指の最強騎士で魔物討伐をする有名人。その重要スキルが突然使えなくなってしまった。土下座までして復活させたいと懇願してくる爽やかなイケメンに戸惑うミル

まず、シオンの凱旋パレードの凛々しいこと。貴族で『魔剣』のレアスキルを持ち、超がつく真面目な優等生。なんと恋愛初心者。ミルの前では嬉しそうな笑顔を向け、悩みを打ち明け、落ち込んだりする末っ子の可愛さが全開だ。しかも根底は束縛系溺愛人種。好きになったら一直線。ミルを誰にも取られたくないと即日、父親に挨拶にいく行動力、いやはや展開が早い。
対してミルは可哀そうなくらいの底辺ぶり。スキルはレアだったけど、しなびた野菜をちょっと復活させる程度の現実に本人が一番失望している。シオン邸でお風呂を初めて見るシーンは、小説もコミックもさらりと流されている。けれども、ミルの生きてきた背景が見えて少し淋しくなった。貧困からくる無教養、不衛生、栄養不足、そして周囲の無関心。その中で身の丈にあった生き方を選ぼうとする姿が可愛かった。

シオンはミルの良さを見つけていく。ミルのスキルは大事にされなかったことで伸びなかったのかな。これからはたくさん愛されて、魔力は爆上がりになると思うのは考えすぎか?小説はミルの背景を丁寧に描写しているし。コミックはアントレイト家の面々が登場して盛り上がっている。
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