白の無言
」のレビュー

白の無言

大竹直子

作者買いです

2025年10月6日
「しのぶれど」と「貴様と俺」を先に読んで、こちらを購読。「しのぶれど」の翌年くらいの話になると思うのですが、最初読んだ時は余りの落差に呆然としました。作者様が「しのぶれど」のあとがきで、別の物語として読んでもらっても構わないと書いていたので、私はそうすることにしました。だって、「しのぶれど」の高橋が桐島にこの状況でこんなことするなんて考えられないんです~。でも、「白の無言」を単品で読むなら、一つの悲しい恋物語としてまとまっていて、正直「この攻め、肝心な時に何やってんだ・・・」って呆れましたが、これはこれで良かったです。
「白の無言」「古痕」を読んで気分は暗く沈んでいましたが、「青蝉」「患者H」を読んであっという間に上昇し、お釣りがくるくらいでした。この作品集の美味しいところは全部持って行った感がある森先生×大樹君カップル。森先生、現実にいたら完全に犯罪者ですが、漫画だと何故か許せてしまうから不思議です。この悪びれなさが良いですね。成長した大樹君にすぐに気付いたところも、変態ここに極まれり、もとい、愛の深さが伺えて良いですね。しかし何より良かったのは、大樹君!君、本当に可愛いね!質の悪い痴漢に遭ったのに、その反応。どこのエロ漫画だって感じですが、絶妙なユーモアを効かせて、いかがわしさはスパイス程度に、可愛いお話に仕上がっていました。ショタ好きな私としては、森先生にはその道を突き進んで欲しいけれど、その結果、大樹君がオジサンになった時に振られちゃわないか心配です。
最後に収録されていた「紅蕾」は源義経と平敦盛のお話でしたが、このお話を気に入った方がいたら、ぜひゴマブックスさんから出ている「源平紅雪綺譚」で「青蓮華(平経正の話)」「遮那王宵月記(義経の幼少期の話)」「紅顔受難(おまけのコメディ)」と併せて読まれることをお勧めします。絵柄は少し古い感じになりますが、とても読み応えがあります。
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