阿修羅の契
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阿修羅の契

大竹直子

作者買いです

ネタバレ
2025年10月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 宇喜田直家の名前は聞いたことがありましたが、どんな人物だったのかは全く知らなかったし、岡剛介(清三郎)に関しては名前すら知りませんでした。ほぼ真っ白な状態で読んだからか、違和感なく楽しめました。大竹先生の作品は、衆道が描かれることが多いけれど、それがメインではなく歴史を描く中に衆道がある感じなのが良いです。恋愛がメインになる普通のBLにはない萌えを感じます。
家臣と相談して決めた作戦ではあったけれど、直家が清三郎に実父の首を取ってこいと命じたのには、主として忠誠心や能力を試す意味合いに加えて、個人的に愛を試す行為でもあるところにグッときました。愛を知らない直家の孤独に、命懸けで寄り添う清三郎が健気です。また、首を狙われる元常という男がカッコイイ!見た目はムサイけれど、人間として器が大きくて、優しく情け深い人柄に、清三郎が父とは知らず惹かれていく気持ちがよく分かります。元常の最期には泣いてしまいましたが、そこでくじけることなく最後までやり抜いた清三郎の強さに男を見ました。架空の設定がいちいち効果的で、直家と剛介が強い絆で結ばれる過程に物語としての説得力がありました。そして、戦国武将たちの鎧姿や着物姿の美しさたるや!女性も清楚な感じなのに艶やかで女性の私でも見惚れてしまうけれど、大竹先生の描かれる日本男児は別格です。私はこれ以上の絵にまだ出会ったことが無いです。先生にはもっともっと歴史ものを描いて頂きたいです。
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