発熱バスルーム
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発熱バスルーム

ARUKU

優しくて可愛くて強い受けを描く天才

ネタバレ
2025年10月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 監/禁もので見晴が可哀想で理不尽な目に遭っているはずなのに、読後感は「なんか…ひどいイチャイチャを見せられた…」なのは何故だろう

序盤は本当にしんどくて、見晴は泣いてばかりいるし可哀想。
中盤で逃げた辺りからは優しくない世間と安全なバスルームの対比が色濃くなっていくけど、でもそれでもバスルームにはいたくない、外の世界は冷たいけどそれでも外にいたい、と思う見晴の強さに何度も胸が熱くなりました

後半は、見晴の言葉が可愛くなっていって(〜なのだ、とか〜だもん、みたいなの。おかしくなったんじゃなく、素が出てきた感じかな)、ここの見晴の変化がとにかくお見事としかいいようがなかった
この口調の変化自体をストックホルム症候群と捉えることもできるし、受け入れてはいないけど甘えるようにはなったのかなと2人の関係が変わったように思うこともできて、ああここからマナトは巻き返せるかな、2人は幸せになれるのかな、といつの間にかそんなふうに考えるようになりました

最後まで読んで振り返ってみると、マナトはひたすら見晴が好きで大事で可愛くて、可哀想で傷ついて欲しくなくて大事にされていて欲しくて、でもそんなこと自分が言える立場じゃなくて、どうにもならない気持ちを抱えたままあの監/禁の日にせき止めていた思いが全て溢れておかしくなっちゃったんだろうなと思います

それでも私はマナトが見晴にしたことは許せないけど、見晴は許しています。そう、見晴は許すんだよね。これがまた凄い。
見晴がここまできっぱりと許すのなら、私が許さないわけには行かない
本当に見晴は凄まじい人だなと思います

そんなわけで、とにかくこのお話は見晴の可愛さとそれに勝る強さに支えられた物語だったなと思います
逃がされたのにまた戻ってきたときはマナトも予想外で驚く展開だったと思うけど、見晴は可愛くて優しい上に、強いんだよなぁ
見晴があまりにも強いから、私が見晴の境遇や置かれた場所をクヨクヨとかわいそうに思っていてはいけないなと思います

バスタブUFO(このワードセンス天才的)に乗って、2人はどこにたどり着くのかな
その後の暮らしを少しだけでもいいから見せてほしい、そんなふうに思った2人でした
きっとマナトは激甘に優しくて、見晴は結構わがまま言ったりしてるんだろうなー
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