君と宇宙を歩くために
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君と宇宙を歩くために

泥ノ田犬彦

ASDとADHDなのかな?

2025年10月16日
宇野くんがASDでこばくんがADHDということかと思いました。
興味のないことは眠くなるし(注意欠陥)、貧乏ゆすりが止められないし(多動)、目の前のことが気になるとそっちに気を取られて(衝動)すぐ忘れ物をしてしまう。
私自身がADHD当事者です。読んでいる間、何度も泣いてしまいました。
ADHDの方はわかると思いますが、一生懸命覚えたことも本当にポカンと忘れてしまいますよね…
今だってこんなに感動してレビューを書こうとしてるのに、主人公2人の名前が出てこなくて困りました苦笑

こばくんと宇野くんが優しいのは、2人とも「できない」辛さ、馬鹿にされる悔しさを知っているから。「普通」がどれだけ難しいのかを知っているからですよね。
こばくんが「俺ってバカなんだわ」と言った場面、涙が溢れました。自分では認めたくないけど、私ってバカなんです。幼稚園児でもできることができないんです。皆の「当たり前」が、私には「ひどく難しいこと」なんです。
でも、「普通」じゃないと「バカ」なのかな?
宇野くんが宇宙のことをとてもよく知っているように、私だってあなたより秀でた何かがあるかもしれない。
凸凹があってもいいじゃないと、作者さんは言いたいのだと思います。

先日同窓会があり、高校の時に私を馬鹿にしてきた友人に会いました。
彼女は高校時代、部活に文化祭、試験、受験…と、多方面で結果を出せるスーパーガールで、モタモタする私のことをいつもからかって笑っていました。当時はADHDなんてほとんど知られておらず、私もそんなこと知らなかったので、毎日必死に過ごしているのにバカだと言われるのが本当に辛かったです。
そんな彼女も30代半ばになり、とても丸く優しい女性になっていました。色々と苦労したようで、年を経て尖っていた部分が削れたようです。同窓会では私の話を遮ることなく、共感しながら聞いてくれました。

苦労すると人は優しくなれるようです。
だから、苦労を人一倍知っている宇野くんとこばくんはこんなにも優しいのでしょうね。
この漫画は病名など一切出て来ませんが、凸凹のある人間が普段どんな気持ちで日常生活を送っているのか、どんな苦労があるのかを前向きな形で描いた素晴らしい作品だと思います。
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