18.44-
」のレビュー

18.44-

桃子すいか

魔法の言葉

ネタバレ
2025年10月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最近とても気になっている作家様の一人です。
読んでみたい作品がたくさんありますが、とりあえず「18.44-」で桃子すいか先生デビューです。

さてレビュータイトルの言葉についてですが、松下の「恋愛はドラフト指名」…ではなく(いやこれもなかなかカッコいいけど)、

「大丈夫」

これです。
普段楽天家な雄大が少しでも落ちそうになるタイミングでいつも昌太朗が掛けてくれるこの言葉は、毎回どれほど雄大を救ってくれただろう。
そしてそれを聞いた時の雄大が「こいつが大丈夫って言うなら大丈夫なんだろうきっと」ってなるのがいい。昌太朗をどれほど信頼しているかがすごくよく分かる大好きなシーンです。

幼なじみの野球少年雄大と昌太朗。高校生に成長しても2人は変わらずバッテリーを組み、学生寮でも同室。ある日雄大がイップスを発症。昌太朗がキャッチャーの時に限って投げられなくなり、しばらく2人はバッテリーを解消せざるを得なくなる。
深谷の女房役になった昌太朗を複雑な気持ちで見つめる雄大の、この辺りから昌太朗に恋していく様子の描き方が素晴らしかった。回想シーンで実は昌太朗の方が先に雄大を好きだったことが判明するんだけど、雄大は両思いに気づいていないから、正直に打ち明け拒絶されるくらいなら今の2人(ピッチャーとキャッチャー)の距離18.44mを保とうとします。

イップスの原因に思い当たった雄大。もう二度と昌太朗を傷付けたくない一心なのだけど、春の地区大会初戦、昌太朗・監督および仲間たちの粋な計らいでバッテリー復活。弱気な雄大の発言を笑い飛ばし、ここでも注がれる昌太朗の魔法の言葉「大丈夫」。

試合後の昌太朗の大粒の涙と「雄ちゃん」呼びは反則でしょ。その勢いで気持ちを打ち明け合う2人。見てるこちらも感涙の嵐!青ーい!
ストレッチ、爪のチェック、部屋でのイチャイチャ…甘ーい!眩しくて眩しくておばちゃん目が開かないわー

雄大は折に触れて昌太朗から「大丈夫」という言葉をもらった。キャップへのメッセージ、雄大は昌太朗にどんな言葉を贈ったんだろう。描かないところがニクイね。でも段ボールに書かれたメモから想像するに、昌太朗にとってきっと大切にしたい言葉だったんだろうな。
読後感最高です。青春の煌めきがたまらない爽やかな作品でした。作家買い決定!
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