落花と破鏡の
」のレビュー

落花と破鏡の

里つばめ

それぞれに抱えるものは暗くても

ネタバレ
2025年11月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 仕事で体調を崩した男が友人の勧めをきっかけに長年離れていた地元に戻り、そこで幼馴染みの男と再会することから再燃する恋と人生のお話。
「GAPS」などスタイリッシュな大人たちのテンポのいいお話が印象深い里先生。こちらの作品はイメージが180°変わるしっとりとしたお話です。
自分の不注意で姉が死んでしまったことに負い目を抱える真智と自分を捨てた母親からお金をせびられることに苦しむ然。まさに、「落下枝に帰らず破鏡再び照らさず」の二人。死んだ人は生き返らないそのツラさと、一度壊れた関係は二度と戻らないことに藻掻く二人の姿が見事に表現されていました。
幸せになっていいのかと悩み、幸せから目を背けていた二人が、再会し、互いの想いを自然と受け入れるようになり、ようやく前を向けるようになって安心しました。相手を幸せにしたいという目標が二人を幸せに向かわせてくれると思うと、恋愛する気持ちのパワーは計り知れないなと思います。多くを語る二人ではないですが、想い合う気持ちがじんわりと伝わってきました。
もしわがままを言えるならば、二人の学生時代が見てみたいです。当時の二人の想いや距離感など垣間見れたら、この数年後に二人がくっついた話の解像度が上がる気がします。
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