マリアボーイ
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マリアボーイ

木村ヒデサト

バックボーン描写が理屈屋には不足だった

ネタバレ
2025年11月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 216ページ。
『好きだよ、秘密だよ』4話+表題作2話+描き下ろし。
2作に分かれてはいますが同一シリーズで、表題作が「続編」に当たります。
巻頭の4話は、DKの二人。そこに引っ掻き回し要員の兄が加わって、なかなか複雑な様相。二人の恋模様の心情は、バカだなあってなったり真剣だなあってなったりの、うまく向き合えなかったりしっかり向き合ったりする熱量が心に響きます。
表題作はその「兄」が主役で、よじれてしまった臆病な気持ちが、懐っこいあたたかさに救われる話。
基本的に好きな作者さんで、今作もやっぱり心情の描き方とかいいなあって思います。
ただ、兄弟関係などのバックボーン描写が物語内にうまく入れ込めていない印象で、そこがカチッとはまるように物語内で読者側に提示されていたら、きっともっと刺さったんじゃないかと思います。
理屈屋なので、そこの描写の少なさで登場人物の気持ち(特に兄の執着)にシンクロしきれずに、少し置いてけぼり感が残りました。
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