このレビューはネタバレを含みます▼
「ぼくとパパとパパの話」2巻に出てきたひねくれクローゼットゲイの恵人のスピンオフ。世渡り上手の寝具メーカー社員・古河×不眠症の小説家・恵人。行きつけの喫茶店で古河と顔を合わせるようになり、いつも内面が読めない笑顔に胡散臭さを感じつつも気になってしまっている恵人。気まぐれに新商品のモニターに参加したことで接する機会が多くなるものの、好意的な雰囲気とは裏腹に一線を引かれているかのような態度にもどかしさを感じてしまう。まったく真逆のタイプだけど、根は似た鬱屈を抱える二人が恋を超えて愛を知るまで。スピンオフだけど単独読みOKで、残念ながら奈央や愛の出番はなし。人を信じられなくて、小説の筆も止まって眠れない恵人と、笑顔に本音を隠しながらも睡眠には強い執着を見せる古河。二人にとって睡眠、書くことを考えることは愛について考えることと似ていて、そのアプローチが面白かった。飄々とした古河のキャラがめっちゃ良いけど、卑屈でひねくれてるけどそれを隠せない正直な恵人には効かないのがまた面白い。互いに未だ痛む傷を曝け出して、傷ごと抱き締め合える二人ですごくよかった。何気に恵人の元カレがムカつくなー。恵人にそんな気はないかもだけど、作家としてもいつか見返して欲しい!