恋する暴君
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恋する暴君

高永ひなこ

さて「暴君」はどちらでしょうか

ネタバレ
2025年11月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 11月土日のBL無料読み企画にて。
研究者設定はオマケのドタバタ系ラブコメ、20年ほど前から続くご長寿シリーズ。
タイトルにある「暴君」はどちらだと思いますか?先輩?森永?どちらも?
私はいい勢いで森永に軍配を上げたいと思います!
読みやすいのと、ぶん回される先輩が不憫でつい最新15巻まで読んでしまいました。
そもそもが別作品のスピンオフということもあって、二人の出会いとかはこちらを読んだだけでは詳しくわからず、こちらだけを読んで判断するのは公平ではない……という気もしますが、やっぱ森永、オマエひでぇよ。

先輩は荒っぽいながらも基本的に情が深く、家族を支えるために頑張ってきたんだな、とか、助手である森永のことが大事なんだな、とか、その他にも「自分以外の人」のために動ける行動原理を持ってるのが見えるんですよね。6巻終盤で父親に謝る場面で、先輩が抱えてきた家族に対する気持ちと重ねてきた年月を思って泣きました。

対して森永は、先輩のこと好きって押してくるんだけどとにかく自分勝手。薬を盛った……わけではないにしろ、薬でおかしくなっている先輩に対して無理矢理っていう……たかが数年片思いしているくらいで何だそのマテの出来なさは!確かに先輩は強引さが必要になることもあるタイプかもしれないが、オマエのしたことは「自分の欲望に負けただけ」だろうが!先輩みたいに情ある天才肌にはもっと無私の献身を寄せる忠犬タイプが相応しい、この駄犬が!!……と、愛が重いタイプの人間は思うわけですよ。で、そんな気持ちだと、折々にはさまれる森永のポエミーなモノローグにいちいちイラつくという大きなマイナスポイントが。健気さを装いつつも己の気に入るような見返りがないと満足できない……挙句、姿を消したり試し行動まがいのことをする……先輩じゃないけど「それくらいわかれよ!」って思っちゃうし、「不安」は何しても許される免罪符じゃねぇし、まあそうなっちゃった原因であろう過去の手酷い経験は気の毒ではあるんですけど……やっぱりこう……このっ……この駄犬がーーー!!

5巻、9巻に、森永の兄カップルの番外編
森永の兄、自分勝手に押し付けてくる感じが弟さんとよう似てはりますなぁ〜。そして森永の過去の男・真崎がムカつく〜!という、ある意味お似合いカップルでした。

8巻で一区切りついています。
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