このレビューはネタバレを含みます▼
ものすごく深い愛の歴史を長編で読んでるようで、夢中になります。本気で真剣に1人の人、ミキオを愛して、自分の思いが強くて深い分、ミキオからの愛が自分より少なくても構わない、愛して一緒にいられると幸せだという、いつも切ない程のジュリアの思い。でも、愛し過ぎて失うことをいつも恐れていたジュリア。世界的スターの才能を持ち、世界がジュリアを放っておかず、どんどん忙しくなってミキオと離れる時間が長くなることに限界を迎えていく。ここで話が大転換する。
ジュリアの方がミキオに首ったけだったはずだけど、ジュリアが事故にあってミキオを忘れてから、ミキオの世界がボロボロになって崩れていく。ジュリアを思うミキオの苦しみが、本当に辛い。そしてジュリアも、自分の中の何かが欠落していることに気付いて自分を保てなくなっていく。二人の心の奥に根付いている互いへの深い愛情が、燻って消えず、求めても掴めない失くした恋人を空に求め続けて、そしてまた再び互いに惹きつけ合っていく。
この続きが気になってたまりません。
物語の骨太のプロットの中で、恋人同士の切なくて深い恋愛が丁寧に描かれていて、人を好きになり過ぎて怖くなる気持ちや、ただ恋人のそばに居られることが幸せだったのに、才能を活かすことを優先させられる気持ち、そうさせてしまった後悔等、節々で、ぐっと感情が揺さぶられる読み応えがあり、二人の心が切なく沁みてきます。すごく続きが読みたいです。オススメです。