群青色の夜を蹴って
」のレビュー

群青色の夜を蹴って

幸田みう

スケボーで駆け抜ける青のグラデーション

ネタバレ
2025年11月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 中3の夏目元太と村澤ユキは小学校の時からの親友で、放課後や休みの日にはスケボーに夢中です。一緒の高校に行こうと約束していたのですが、一瞬の心のすれ違いから顔を合わせづらくなってしまい、言葉を交わすこともなく違う高校に進学しました。それは、仲良くスケボーを楽しんでいた時に、ユキが元太にキスしようとして、驚いた元太学避けてしまったことでした。ユキはずっと隠し続けるつもりだった元太への気持ちがバレてしまったことへの後悔と自己嫌悪とで、学校に行けなくなってしまいます。母子家庭のユキの母親には彼氏がおり、元太も失って行き場のなくなったユキは、スケボーパークで知り合った不良たちとつるむようになります。一方で元太もあまりのユキの変わりように、ユキのキスを避けてしまったことを後悔するのでした。お互いのスケボーに落書きしたり、ピアスを開けたり、警備員さんに追いかけられたり、思春期ならではの楽しい時間と、あっという間に転落してゆく危うさとが丁寧に描かれます。二人が夜の横断歩道ですれ違う箇所が、静かで切ない映画のワンシーンのようでした。二人が少しずつ成長してゆく各話の扉絵も良きでした。
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