かつとし
」のレビュー

かつとし

上野ポテト

表紙の克利の瞳に吸い込まれるように購入

ネタバレ
2025年12月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作は4話構成。
「オートマチックコントロール」コイン ランドリーで偶然居合わせた克利と裕希のやり取りが、裕希目線で語られます。
「モノローグ」克利の高校時代から裕希と出会うまで、克利がどう生きてきたかを本人が語ります。克利と裕希はコミュ障の両極に位置するのかもしれない。
「いつか来る朝」ワンナイトの相手目線で克利を語る4ページ。こんな人にまで閉じた心と寂しさを見透かされて、笑顔が開くところを見たいと思わせるなんて、どんだけダダ洩れなんだか。
「かつとし」ようやくメインのお話です。初恋の先輩を忘れられず、他の男で紛らわす日々を送る克利。最初に出てきた裕希も、顔が先輩に似ているだけの穴埋め要員でした。

克利は嫌われることを恐れるあまり、人に対して好印象しか与えられない。それがたとえ、嫌いな人や興味のない人でも。人を喜ばせることが自分の役割だと自己説得しているけれど、自分を蔑ろにすることで生じる虚しさは、彼の心に大きな穴をあけていきます。この穴を人で埋めようとするから、人の思惑を優先せざるを得ず、デススパイラルに陥っていましたが、本人すら見失っていた素の克利を引きずり出してくれる存在(通称オジさん)との出会いで、事態はどんどん好転していきます。この辺りは是非読んで味わっていただきたいのですが、今まであれだけ気味悪かった克利の表情がみるみる変化していき、ラストの笑顔を見た時は、それまでの克利が走馬灯のように私の脳内を駆け抜けていって、まるでそれまでの克利が天に召されたかのようでした。

オジさんと致すシーンは無いけれど、表紙の克利はオジさんに抱かれた後だと勝手に思い込むことにしました。克利の顔には汗が滴り、服も着たまま、雑に置かれた使用済みのアレ。愛おし気に見つめる視線の先にはオジさんが居るに違いない!どれほどの盛り上がりを見せたのか想像するだけで私の身体はカッと熱くなり、オジさんと三日三晩語り合いたい衝動に駆られます。「ムッとして尖らせたあの唇は摘まみたくなるよねー!」とか言いながら・・・。

表題作の他に「スイートハラスメント」前後編も収録されていました。このお話もすごく良かったのに、文字数が足りない!無念!性癖にはこっちのが刺さりました。
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