このレビューはネタバレを含みます▼
輩に追われて走っていた園山は、出会い頭に中学の同級生の瀬田とぶつかる。瀬田は輩たちと話をつけて助けてくれた上、住む場所が無い園山に、家事代行という名目で自分と一緒に住むよう提案するが・・・。
伸ばしっぱなしの髪に、死人のような目。園山からは、自分も他人も世の中の全てがどうでもいい感が溢れている。どんな幼少期を送ったかは不明だが、生き延びることに必死で自我が育たなかったように見える。
他人にとって都合の良い人間でいれば、居場所も得られ摩擦もおきない。自分にも他人にも期待せず、虚しさは手っ取り早くパチ ンコで誤魔化す。一見エネルギーを必要としないようだが、常に無意識下では自分を抑え込むためのエネルギーが膨大に消費されている。彼が楽な方を選んできたのは、常にエネルギー不足でそうせざるを得なかったから。自分を殺し続ける日々が、園山を無気力無感動にしてるのだと思う。
一方瀬田は人にどう思われても、自分に正当性があるなら問題は無いと処理している感じ。他人がどう思っているかなど、彼にとってはどうでもよい事のよう。同級生にあんなことされても怒らず傷付かない強メンタルは、そういう思考回路に由来するのではと思いました。だから、園山が時々見せる表情にシンパシーを感じて、興味を持ったんじゃないかな。
人としては歪だけど、瀬田の園山に対する思いはとても真っ直ぐで純粋で美しいなと思いました。初めてのHの時、園山が瀬田の気持ちを察して、自分も欲情していることを伝えるシーン。園山のさり気ない優しさと、感極まったような瀬田の表情に、私まで泣きそうになりました。
今はまだ、園山の気持ちは恋ではないかもしれない。でも、瀬田からの想いは嫌じゃない。彼を信じてみたいと思い始めているのは確か。これから共に居ることで変化していく2人を見てみたいし、田村さん目線の番外編も読んでみたい。続き出てくれないかな~。
瀬田と園山を見ていると、自分の中のどうしようもない部分も、どこかの誰かが求めていたりするのかなと思えてきます。性格を構成する要素に良いも悪いもない。そのバランスは十人十色で誰もがアンバランスだからこそ、関わり合うことでバランスがとれる瞬間が生み出されるような気もします。極端に歪な2人でしたが、その分2人合わさった時のバランスは絶妙で、お似合いのカップルだと思いました。