さよなら絵梨
」のレビュー

さよなら絵梨

藤本タツキ

創作、生と死、爆発

ネタバレ
2026年1月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ チェンソーマン劇場に観に行きました。映画見るためにアニメ見て、他の作品も買ってみた感じです。
試し読みだと、お母さんが死んじゃうお父さんうえーんのとこまでしか見えないので、これめっちゃ泣かせるやつでは…ゴクリと思って読み始めたら、なんとスクリーンでした。
でも、私はその冒頭でものすごく引き込まれたし、クソ映画でした。俺たち何見せられたの?みたいに言ってる奴ら、全員口閉じろや、勝手なこと言ってんなボケって感じで(お口が悪いわよ)、こう言う時自分は主人公にすごく肩入れして共感してしまうので、優太…大丈夫か?大丈夫だよな??と心配なった。というのも、お父さんがのちに喋ってくれるんだけど、自分の創作物を笑われたり、馬鹿にされるのって、本当につらいことだと思うから、お母さん死んじゃったことも合わせて、優太は2度死ぬんじゃないかって心配だった。
藤本タツキ先生のあえて線をぼやかした絵が臨場感たっぷりに優太の震えとかその時の空気感まで伝えてくれる。しかも、差し込み方が自然だ。あんまりこういう漫画技法読んだことないかもしれん。新鮮だった。
絵梨と仲良くなって、映画を極めていく過程も良い。これぞ青春。青春時代、こんなにたくさん映画見て、それを語り合える人がいて、それ自体がまず素敵だ。
絵梨は一度死んじゃうし、お母さんも本当はあんなに綺麗なだけの人じゃなかったみたいなんだけど、それでも日々は続く。
優太は物事を自分のことなのに客観視してしまう癖がある。優太自身の悲しいとか寂しいとかって、全然伝わってこないんだよな。そもそも感情の発露も、受皿ももうとっくの昔に溢れかえってキャパオーバーだったのかもしれない。結婚も、子どもも、奥さんに流されたからではないだろうか。
そんな中、死んだと思っていた絵梨が生きていた。ほんとは吸血鬼だとか妄言じみたことを言う。優太は自分の家族がみんないなくなってしまって、絵梨の心配なんかしていられる心境ではないんだよ本来は。だけど、これまで撮ってきた映画が無駄ではなかったこと、映画を見ることによって、何度も相手のことを思い出せる。それって素敵だよねって、初めて自分のことを、自分のしてきたことを肯定して、絵梨にさよならする。人から理解されないことの多い人生だったと思うんだけど、最後にはお得意の爆発オチ。それって自分らしさの獲得だよね。優太の人生はまだ始まったばかり。
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