青野くんに触りたいから死にたい
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青野くんに触りたいから死にたい

椎名うみ

切ないし抉られるけど希望も持てる傑作

ネタバレ
2026年1月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一巻か二巻無料だからと読み始めて、最初は上手いんだかわからない絵と思い込みが激しそうなメンヘラ気味の主人公に不安を覚えましたが、急変するホラー展開と青野くんの謎に惹かれてとりあえず続きも読んでみたら唯一無二の面白さでした。
読み終わった後も没入感がすごくて、作品のこと、登場人物たちのこと、色々と考えてしまいます。
1話から読み返すと、最初からプロットがしっかり作られていたこと、登場人物たちの命名まで作り込まれていることがわかります。

人間の弱いところも強いところも書いているので、読んでいてキツイところもあれば勇気づけられるところもある。
理想的な大人がほぼ出てこないのもこの作品の特徴。藤本の親くらいか?
春ちゃんも優里の家庭環境には気が付けないし、希美の曽祖母も渡瀬の役割が大事なだけで、自分の子や孫にはあたりがキツかった。
そして子どもたちが大人が助けてくれること・変わることを諦めているのが悲しくもありリアルである。

龍平の母・瞳は、青野が高校生で亡くならなかった場合の未来の優里のように感じた。
きちんと読み返せばそうでないかもしれないが、バーっと一気読みした時はそう感じた。
仲を深める前の青野の死は悲劇ではあったが、青野が死ななかった場合、青野と優里はこんなにぶつかったり本音で話したり愛したりしただろうか。
たとえ短い時間でも、たとえ生者と死者でも、一度きりの人生で本気で好きになった人とかけがえのない時間を過ごせたことで、青野と優里は作中の登場人物の中でも幸せを掴んだ二人だと言える。
そして本作は間違いなくラブストーリーでもあるのだなあ。

本当にすごいものを読ませていただきました。
ありがとうございました。
完結お疲れ様です。
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