ヤングケアラー みえない私
」のレビュー

ヤングケアラー みえない私

相葉キョウコ

単純な解決策の無い問題、それでも

ネタバレ
2026年2月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 201ページ。
主人公交代型の3作品オムニバス。
ヤングケアラーって何?という人へは問題提起として。
現実に介護を担っている人にはわずかながらの救いとして。
3人の主人公、それぞれの介護の様子が描かれています。
子供には選択肢が少なく、その中で必死にがんばっている姿がツラい。
介護の何がツライって、終わりが見えないことと「終わりを望んでしまうこと」で、そんな思いを子供にさせてはいけない。
彼らの頑張りには労いと賞賛を、そして彼らの頑張りを「美談」にしてはならないと強く思います。
作者さん自身の経験も手伝ってか、心情のリアリティがありつつも悲惨になりすぎない、読みやすいバランス。
多くの人に読まれるといい、そう思える作品でした。
フィクションには非現実を求めるタチで、個人的な趣味としてはもっと闇深い方が楽しめるため、星は4つ止まりです。
ただ、現実を考える手助けとしての参考書的な作品としては星5つ。
読者を選ばない間口の広さに加えて、「善」の価値観の押し付けが見られません。この中立な感じは貴重であり、とてもおすすめできます。
それぞれの主人公がそれぞれに、次世代を助ける描写があります。
より良き世界というのは、この「次世代への助け」の姿勢なくしては実現しません。その姿勢がたいへん好ましいです。
作者さんにとって、この作品を描くことが、正にその「助け」に当たるのではないでしょうか。そして同時に、過去の自分自身への救いでも。

女子主人公の話には親戚連中が出てくるんですが、こいつらがまたすげームカつくわけで……全国津々浦々に実在するであろうこういう連中に心を込めて呪いを送ります!
男子主人公の話の母親には、マジで反省しろよって説教付きでお茶を出します。
〜〜〜〜〜
さて、ここからはちょっとダークな話になるんですけどね。
この作品が悲惨になりすぎなかったその理由は、介護期間が1〜2年で終わっていること。それに尽きると思います。
特に最初のお話、母親がなかなかの毒親っぷりで、介護は大変ではあっても、この先の娘の長い人生は救われたと思います。
自分が将来、回復の見込みなく介護されなければならない状況になったとすると、子供や孫や若い世代のためにできることはただ一つ……姥捨山は、老いた身の希望でもある……この意志を持ったまま歳をとれるようにがんばりたい。
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