ランチユーインザスカイ
」のレビュー

ランチユーインザスカイ

伊藤九

青く光る生の煌めき

ネタバレ
2026年2月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表現力の塊のような作品でした。
教室の雰囲気や、花火会場の雑踏や、花火が打ち上がった時の光の加減に、空気が描かれているというか。
人物にも背景にも描かれている不思議なもじゃもじゃ。このもじゃもじゃがなかったら、もしトーンだったら、この作品の、中に引き込まれるような画面力、特別感はなかっただろうな。
風の匂いを感じ、自分も花火の光に照らされた。色濃い無の闇の中で明滅する、青い煌めき

何か生きた証を残したいではなく、自分を憶えていて欲しいでもなく、
喜多くんの、刹那に光って消える花火に自分を託したいというのは、分かる気がする。

空に輝く星に比べれば、享年17才だろうが100才だろうが、命は一瞬の花火の様なもの。

過去は曖昧だし、未来の事は分からない
人が鮮やかに、確かに生きていると感じられるのは「今」という瞬間にしかない。
喜びも悲しみも、淋しさも虚しさも、不安も恐れも、その瞬間に明滅し、過ぎ去るもの
だったら喜びが多い方がいい

あいつは花火の様なやつだった
そして花火(星)になった

最高だ。

読み終えてから、すぐに2回目を読み直した。
冒頭シーン、ランチユーインザスカイのタイトルが描かれている一枚絵を見て、
悲しみとも喜びともつかない涙が出た。
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