煙と蜜
」のレビュー

煙と蜜

長蔵ヒロコ

この「二人」だから

ネタバレ
2026年3月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 文治と姫子の関係や、見守る登場人物たちのあたたかさ、季節の植物、質感が感じられる背景や風物詩。展開そのものではなく、これらのしみじみとした美しさを愛でる作品、という印象です。
リアタイで読ませていただいていて、単行本はけっこう話数ある方と思うのですが、いつも姫子さんの変化を見てるうちについ没頭してしまい⋯気づいたらあれっ?!終わっちゃった!早かったな!の繰り返し、そしてまた、あっという間の七集でした。

時代物を描かれる作者さんってどの先生も素晴らしい画力で。隅から隅までめちゃくちゃ丁寧!「煙と蜜」も画面を見てるだけでうっとりしちゃいます。

実際、姫子さんと文治のような状況(超年の差)の夫婦(←予定)がこの時代にどれほどいたのかわかりませんし、更に文治みたいな男性⋯本当にいたのかなぁぁ??今だってこんな男の人少ないんじゃないかな?!その辺が「夢」って感じで(笑)漫画作品として良いなってなります。文治が人徳の塊なので、文治に近しい男性陣も皆似たところあっていいですね。
絵柄は青年誌風で、メイン2人の雰囲気は少女漫画風なイメージです。2つのジャンルがいい具合にミックスされてる感じも新鮮でした。自分としては、青年誌少年誌ではおなじみの「男ってそういうもん」みたいなゲスみが文治に一切無い!(か、描かれないのかわかりませんがどちらにしても要らないんで)ところが継続できてるポイントです。

昨今、設定を昔にしても、超・年の差設定を清々しく描くのは、時節柄かなり難しい気がします。
実際自分も、どうしても年の差に意識がいってしまい読む前は“なんでわざわざこの年の差に??”と疑問に思いつつ試し読みからでしたが、じっくり読んでいくと2人ともが「まだ幼い」「すごく大人」の部分でなく、お互い1人の人間として内面を理解しようとしており(特に姫子さんは拙いながらも一生懸命)、そういう部分が理屈でなくちょっとした会話や表情の描写でとても丁寧に、且つ豊かに描かれています。ここらが現実の世界でも“言うは易し”で難しいので共感ポイントかなと。読んでるうちに「この二人だからいいんだろうな」が自然にじわじわと内側から広がっていきました。そういう表現が秀逸だなぁと。

大人になるのを楽しみにしている可愛い姫子さんを永遠に見ていたいような⋯祝言まで見届けたいような⋯複雑な気持ちで読んでます。
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