銃座のウルナ
」のレビュー

銃座のウルナ

伊図透

愛と憎しみと美しさと

ネタバレ
2026年4月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ とにかくSFが読みたくて購入。圧倒的架空戦史巨編…銀英伝みたいなの?と…いや、表紙で気付くべきでしたが、SFとしては期待外れ。しかし、戦争ものとしては今まで読んだ中でも、1、2位を争うくらいの素晴らしい作品でした。戦争は悲惨で残酷。だけでなく、戦争や人が俯瞰的、現実的な視点で描かれている。

トホマがウルナの鼻水を啜るシーンが好きです。
憎しみも汚ないものも飲み込んだ彼の、彼女への愛が伝わってきました。
そしてトホマの死後、手紙を受け取ったウルナが羽を組み立てるエピソード。
1巻冒頭の印象的な詩が、全てのエピソードを巻き込んでここに繋がっている。
理屈ではなく、私の心の中にこの物語が、ウルナとトホマの心が入り込んできたように感じました。
故郷は美しく、愛も美しい。

両親の矛盾の結晶である双子はどのような道を選ぶのでしょうか。
どの道を選んだとしても、ヅードの文化や記憶が途絶えても、血はきっと続いていくのでしょうね。
 うつくしさは
 時間さえも
 飲み込むだろう
SFとしては期待外れと最初に言ったものの、愛も憎しみも全てを飲み込んで、人が延々と続けてきた命の営み、血の繋いだ時間の壮大さと広がりが感じられ、そういう意味ではとてもSFな作品でした。出会いに感謝。
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