「傍観者の恋【初回限定ペーパー付】【電子限定特典付】
」のレビュー

傍観者の恋【初回限定ペーパー付】【電子限定特典付】

吉田了/ナツ/あき

最愛の人の死を楔に善と悪と恋に苦しむ物語

2026年6月19日
あまりにも辛すぎる。
あまりにも馬鹿げている。
人を想う気持ちが儘ならないことを指の先まで痛くなるほど思い知る作品でした。

世の中に掛け違いすれ違う恋を描く作品は山のようにあるけれども、この作品はその所ばかりが見どころではない。
たった一人の、どこにでもいる少女の...心の中の悪が顔を出す。
その瞬間、そして度々現れる自分という悪魔を利用し嫌悪し溺れてしまう。
嫌悪する瞬間に善である自分が叱責し戒め”傍観者”という檻に閉じ込めてしまうのだ。
誰でもがその善と悪のせめぎ合いを知っているからこそ、この作品を面白く感じるし読む手が止まらないのだと思う。

主人公レイチェルのモノローグが主のこの作品は、ひたすらに辛い。
2巻の最後なんて限界を迎えたレイチェルの叫びにもう心が張り裂けそうでした。
レイチェルとアリシア、ノアのお互い寄り添い合い傍観しあっていた道が、ある時分岐を迎えます。
川の流れが少しずつ変化するように少しずつ離れてゆく3人ですが、ノアのモノローグがはじまると知りたかったノア目線で数々の出来事のかけ違いがあらわになりとてつもなく切ない。
お互いが善良であるがために触れられないことも、のぞみを持つことへの恐怖で一線を越えられないことも、一度レイチェルターンで味わっているのでもどかしさがさらに募りました。
そしてアリシアという絶対的な無垢の象徴の存在に縋っていたふたりが易々と目の前の幸せを手放してしまう愚かさに業を煮やす思いでした。

陰と陽、光と影、善と悪。
三者三様、己を覗き込み悪魔に支配されその度に善良な自分が裁きを下す。
私にとっては両片思いのすれ違いも切なかったのですが、善良であるがために自分を許すことができない登場人物たちの心が苦しかった。

随分前に別サイトで原作を読み、頭痛がおさまらないほど涙を流した作品でした。
現在の電子配信小説は加筆修正されているらしいのですがそちらは未読です。
コミカライズされ、またも涙を流し、レイチェルとノアの未来が温かな日差しの中にあることを願ってやまない作品です。
単話版最新刊では特別編が公開されていますのでそちらも併せて読んでみてください。
願わくば、アリシアの中も覗いた作品が読みたいなあ~なんて。
そして子どもたちのお話は続編?

コミカライズ最後まで本当にありがとうございました。
素晴らしい作品でした。
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