ぼくのブルーキャット
」のレビュー

ぼくのブルーキャット

井波エン

すれ違う想い

ネタバレ
2026年7月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ ピアニストの依鈴と調律師の臣。
高校の同級生でピアノで繋がっていた二人だったのに依鈴のために手に怪我をした臣はピアノが弾けなくなってしまう。

その後、調律師になった臣と海外留学を取りやめ臣と一緒にいる依鈴。
臣のピアニストとしての依鈴と人としての依鈴への想い、依鈴のピアノへの想いと臣への罪悪感と純粋に臣と一緒にいたいという想い・・・どれも本当だけど相反する気持ちもある。人間の心は複雑で自分でもどうしたらいいのかわからないのかもしれない。
二人の心情が繊細に表現されていて、お互いに相手を思っているのにどこへも進めないもどかしさも丁寧に描かれていると思いました。
周囲の人たちも誰かを大切に思う気持ちに嘘はないのにうまく伝わらなかったりすれ違ったり。
切なくて何度もウルっとしました。

依鈴にピアノを弾かせるために手を離した臣と臣の手を離さないままピアノを弾く決断をした依鈴。覚悟を決めた依鈴の強さがかっこよかったです。

最後は猫と過ごす陽だまりのような温かく穏やかな結末でした。依鈴がこんなに柔らかい表情をできるようになって本当に良かった。
とても満足感の高い素敵な1冊です。
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