寄越す犬、めくる夜
」のレビュー

寄越す犬、めくる夜

のばらあいこ

ただ暗いだけでなく、堕とし方が良い

2015年12月11日
闇社会の理不尽さ、憤り、プライドと理性の崩壊、肉体の快楽、そして虚無感。様々な方向から精神的に蝕ばまれていく、良識ある主人公の道徳心が崩壊していくプロセスが安っぽくなくて良かったです。
どんなに精神が健康な人でも、快楽に堕ちる人間の浅はかさ。快楽に身を委ねる事の心地の良さ。守らなくてはならない存在と、チラつく純情。人としての理性の狭間で、それらがない交ぜになり苦しむ。
綺麗な書き方ではなく、世界観が強く味のある絵だったので(このお話の場合はそれがとても良い)ものすごく見入ってしまった訳ではないのですが、やはり結末は気になるので次巻も購入予定です。
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