秘密 -トップ・シークレット-
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秘密 -トップ・シークレット-

清水玲子

さすが……!

ネタバレ
2017年3月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 清水先生の作品は、自分が中高生の頃からとても人気がありました。が、その頃は一度も手にすることがなく、この作品で初めて清水作品との出会いを果たしました。猟奇的な殺人事件の場面なども多く描かれていますが、裸体や死体を描いていても、そこに気味の悪さよりも先生の筆致の丁寧さが見て取れるので、ほんの少し救いがあります。まだ3巻までしか読んでいませんが、自分としては一気に読んでしまうよりも1巻ずつ買いそろえ時間をかけて楽しみたい。何気ない薪のセリフや、事件に関わる者から青木に投げつけられた容赦ない(けど真実を含んだ)言葉などを反芻して咀嚼して、小説を読むように奥深い魅力を味わいながら読んでいます……←ここまでは3巻を読んだ時点での感想でした。全巻読み終え、薪が青木との間に恋愛という言葉では表現しきれない程の深い情に辿りつけたことに深く感動します。彼が、幸せを幸せと感じないぐらい当たり前にそれが傍にある人生を生きられたら。物語に登場する事件は凄惨なものが多いですが、今の世の中で起きていることと同じで、愛されるはずだった命や生きられるはずだった命が、今この瞬間にも奪われていっていることを感じずにいられません。生涯の愛読書です。
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