このレビューはネタバレを含みます▼
平和な時代に生まれ、今の豊かさを享受している者にとっては戦争、ことに原爆を直視することはあまりにも悲惨すぎてついつい目を背けてしまいがちになってしまいます。子供であってもある程度の年齢になればこの国に原爆が落ちたことはみんな知っていますが、実際の惨さを知ることには躊躇してしまうのではないでしょうか。私もその一人で、子供の頃に読んだ『はだしのゲン』は漫画であってさえとても怖く恐ろしくて、ましてや原爆資料館などには臆病な私には足を向けられないと思っていました。私のような人は少なからずいると思いますが、この作品はそのような人にも原爆についてほんの一端でも触れることが出来るということに意味があると思いました。 戦後何年たっても残る広い意味での後遺症(病気だけでなく偏見など)を抱えながらも、日々淡々と生きていく日常があるということを改めて気付かされた作品でした。