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今月(5月1日~5月31日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • シャングリラの鳥

    座裏屋蘭丸

    熱気と夜と潮の香り
    2022年9月3日
    ページを開いた途端ぶわっと溢れ出す南国の空気、生命力に満ちた植物の緑と澄んだ青い空、熱されて乾いた海の風の匂いがします。
    外界から隔絶されたトロピカルな快楽の園「シャングリラ」はどことない仄暗さと背徳を孕み、その陰の部分をより際立たせるかのようにまばゆく蠱惑的。舞台設定と世界観にこれほど惚れ込んだ作品はありません。人物の肉体もその陰影のすべてが美しいです。男娼であるフィーの褐色の肌のその肌理の細やかさ、手に吸い付くようななめらかさまでひとつひとつの絵から伝わってきます。
    男娼と試情夫との間の約束事が越えてはならない一線となることで、彼ら登場人物たちの行動に熱を与えて行くさまには読んでいて心が震えます。彼らの心身に課された制限が物語の官能性を増幅させていく。
    この先を心より楽しみにしております。必読の一作品です。
  • 囀る鳥は羽ばたかない

    ヨネダコウ

    衝撃を受けた一冊
    2022年8月8日
    ヨネダコウ先生の作品はこれまでは読んだことがありませんでしたが、初めて「どうしても触れたくない」を読んで号泣したことをきっかけにこちらも拝読しました。
    微に入り細に入った人物描写がとにかく素晴らしいです。今まで読んだ作品の中でも群を抜いて忘れられない、私にとっての人生の一作品となりました。
    作中の人々がそれぞれに持つ緻密で複雑な感情のひとつひとつが胸をえぐります。初読から既に何度も既刊7巻までを繰り返し読んでいますが、読むたびにふとしたシーンや発された一言からの気づきがあり、読めば読むほど深みにはまっていきます。
    人々の立ち方や仕草、筋肉の付き方などが美しくてそちらにも見入ってしまいます。矢代の煙草を持つ指先や佇まいはとても色っぽい。言葉以上に物を言う百目鬼の視線にも目が離せません。最終話までどこまでも楽しみにしております。