悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~
白梅ナズナ/まきぶろ/紫真依
このレビューはネタバレを含みます▼
絵の上手さに釣られてついつい最新刊(現段階では4巻)まで読みましたが…確かに視点は斬新だしそれなりに面白くもある。…が、スッキリ爽快かと言われると…。
運命を安易に改変していく転生者と、転生者を愛するあまり復讐に燃える本来の肉体の主とに引っ掻き回される世界の皆さんに同情しますといった内容。はっきり言うと胸糞悪い。
転生者がやたら優しい、お人好し、善人と主人公の中で持て囃されているが、本当にそうだろうか?
先の展開を知っているから先回りしてそのキャラそのキャラが本来辿る筋道を潰して運命を改竄し、自分に好意を向けさせる、ピナとかいう正ヒロインは悪辣だが、方向性が違うだけでやっている事は充分えげつない。
そうやって地道に稼いでいった好感度をアイテムで掻っ攫われて絶望したそうだが、ある意味洗脳に近い状態なのだから主人公が憎悪を洗脳された人々にまで向けるのもちょっとな。
ピナも転生者らしいので、転生者二人に引っ掻き回され利用される世界の住人達がただただ可哀想。
こういう悪役令嬢モノにありがちなツッコミどころとして、敵役となる正ヒロインポジション(この場合はピナ)がやたら頭空っぽのゆるふわで浅慮で無計画なのも気になるところ。まぁ相手が馬鹿じゃないと分かりやすく勝ってスッキリ出来ないか。それか書き手の力量の問題かな。
偶には主人公と同レベルの知略や謀略を駆使してバチバチに鍔迫り合いを繰り広げる、泥試合的な話も読んでみたいものだ。