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今月(5月1日~5月31日)

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シーモア島
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  • のだめカンタービレ 新装版

    二ノ宮知子

    ずーっとずーっと大切な作品です
    2024年3月14日
    ■のだめを初めて読んだのは10年前でした。
    そのさらに2、3年前から大ブームでしたが、なんとなくドラマ見て千秋先輩かっこいいってだけしか知りませんでした。読む手が止まらない、すごい面白い!音楽の世界ってこんなふうだったんだ、こんな…
    ■私にはのだめ達と同じくピアノでヨーロッパへ留学に行った友達がいました。裕福な家の子だったので、お金あるんだな、と心の中で羨ましかった。
    ■のだめを読んで、でもそれは間違いだったんだなと気がつきました。作品の中ではルームメイトや恋やライバルやコンサートや旅行やと楽しそうな暮らしがある一方で、主題はずれてませんでした。
    ■ああ、そうか。あの子は私たちと同じ時間を過ごしてこなかったから、あんな遠くまで行けたんだなと感じました。
    ■それから、折に触れては読み直し、さらに10年が経っていました。
    ■何もできないまま20年が経っていました。
    今思えば、私はのだめになりたかった、千秋先輩になりたかった、ターニャに、黒木くんに。努力して特別になった人になりたかった。年齢を重ねた時に、積み重ねた物のある大人になりたかった。
    ■初めて読んだ時から20年経って、昔よりもターニャが好きになってました。成功する人達を間近で見て、遅れて真剣になって、必死になって。最後はそうして自分の新しい道を見つける様子がこの巻でわかりました。
    ■そうなんです。ターニャのように積み重ねたものもなく、取り戻せる遅れではないけど、気が付いた時から道を変えて進まないと、進めないだけなんです。
    ■今回の巻では同じようにさらに歳をとった登場人物たちが見えます。落ち着くところへ落ち着き、在るべき場所へと進んでいました。
    ■後何年、何十年かかるかわからないけど、私も前に進みたい。その頃に二ノ宮先生がまた大人になったのだめ達を描いてくれていたりして、それを見て少し進めたよって思えたら私の人生は花丸です。そうやって頑張って行きたいです。
  • 60億分のふたり

    でん蔵

    全文ネタバレ、本編読んだ人向けです
    ネタバレ
    2022年12月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 以下全てネタバレです。読んで色々考えちゃった人一緒に考察しましょう。

    気になるキーワードは神様。織田の言う「俺の神様」と執着の理由がやはり作中では曖昧です。だから憶測で楽しむことにします。
    生まれつき優秀な織田は周囲を見下し退屈な世界にいました。 しかし死にかけたことで否応なしに心の声が聞こえるように。心の声はコントロールできず、初めて思い通りにならない世界に取り残されます。周囲の理解なんて必要としてこなかったこれまでと違い、特殊な状況に1人置かれて絶望的な孤独に苛まされます。

    そうして出会えた香藤は唯一のまともな存在。姿こそ同じですが、60億人が一瞬で宇宙人や怪物に変わった世界でただ1人の人間なんですから絶対離れたくないはずです。そうなると織田がヤンデレになるのも理解できます。
    ですがどうして神様なんでしょう。 織田の思考が大きく飛躍する瞬間が2話の最後にあります。思い悩む香藤を見て「心から笑わせてやりたい」と温かい思いやりを持った数ページ後に、友達が1人もいないと知って「俺だけの物なんだ」とヤンデレ笑いしています。怖いです。
    3話でついに香藤も心の声が聞けると判明し、織田の暴走は止まらなくなります。 世界中で俺にとって特別な存在という構造から、世界中で俺たちだけが特別な存在に変わります。選民思想で選ばれた2人と確信を持ち、織田は香藤を自分より特別な存在として神格化します。
    さて、気になるのは4話で突然香藤が普通にもどる点です。もちろん織田の行為が原因です。なぜ香藤だけ元に戻ったのか?普通に戻りたいと犯されながら香藤が願ったことに原因がある気がします。つまり香藤には周囲を無意識に世界をあやつる力が確かにあった…?
    心の中でトラックが突っ込めと言えば現実になるし、死ぬな織田と言えば生き返るし、織田と友達になれるし、普通に戻りたいと思えば普通に戻った。手に入らなかった死も夢の中でですが、手に入った。
    言葉として書かれていないですが、香藤が願ったことはもう一つ。夢の中で架空の同級生になじられる中、後ろから抱きしめて香藤の味方だ、香藤が大事だと言う織田。香藤は本当は、織田の死を願った反動から織田に許されること、そして織田との特別な関係を願ったのかもしれません。
    香藤が普通に戻ったいま、織田は神なのか?なんなのか?謎はつきませんが2人とも幸せならオッケーです。
  • スリーピングデッド

    朝田ねむい

    すごかった
    ネタバレ
    2022年12月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ BLの枠を超えたBL


    正直一巻で間宮のビジュアルが受け付けず、読むのやめようかと思ったんですが、BLの枠を超えたBLへの嗅覚が働いてえいやと購入。

    まさに狙い通りBLの枠を超えたBLでした。

    言葉でないです。
    穏やかなテンポで距離を詰める2人の関係と対照的な殺人行為や食人行為。他の方もレビュー書いてますが、間宮がどんどん可愛くなってく。なんて書くの上手いんだろう。一旦否定してから素直になるのが凄く良い。あとずっと佐田くん呼びなのもよい。
    一巻では佐田が心配でしたが、どんどん間宮が心配になる。佐田の台詞も本当にキャラクター出てて一つ一つが良い。

    ラストネタバレ一応注意。




    このラストはどうしようもなく好きです。
    なんて切なさだろう。
    たくさん人を殺してきても、実験してきても、大切なものは大切で、ラストの間宮のため息に、どうしようもない気持ちになりました。どうしよう、これは。
    彼のこと頭から離れなかったんだね、と思うと本当に泣けてきてしまう。
    全然言葉にできないな、感想。

    レビューでたくさんおすすめしてくれたひとありがとうございます。読んで良かったです。
  • ワンルームエンジェル

    はらだ

    良かった…読んで良かった…
    ネタバレ
    2022年5月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 良かったな…読んで良かったな…
    青年誌で出せばこの漫画がすごいとか余裕で取れますよねこれ…なにかもう賞とか取ってるの?
    いや、賞とか取ることが良いわけじゃなくてなんかもう本当に読んで良かったとしか言えない。だから他の人にも読んでほしい。特に8の出会い。最後あそこで泣いてしまった。そうだよね、会いたかったよね、会えてよかったって!

    漫画はやっぱり素晴らしいな、また良い作品に会えて本当に良かった!
    個人的天使のキャラとビジュアルと羽のふわふわ感が好き。あと主人公が笑う時やっぱり泣いちゃった。あとあり沙もいい。弟も米がいい。そうだよね、人生ゴミみたいで生きる意味ないなって思っても、でも悪くないなって思えたらいいよね。私もちょっと頑張りたい!良い作品読めて本当に良かったです!
  • スリーピング・バグ

    京山あつき

    立ち読みではまって初BL本購入
    ネタバレ
    2022年2月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ※全体的なネタバレ感想です。
    いわゆるBL本に興味を持ったことがなかった。性描写の強い漫画が苦手なので手を出したことがなかった。

    コロナ自粛でシーモアで無料漫画を読み漁り、ほとんど読んでしまったのでBLを最近読み出した。昔よりは抵抗なく読めるけれど、すぐに(あるいは冒頭から)性行為が始まるのに違和感があった。きっとそうじゃない本もいっぱいあるんだろうとは思うけど。

    たまたま作者の本に行き当たった。
    一話読んで、引き込まれた。恋愛すら始まっていない!
    新卒のうるのとベテランの本郷さん。距離が近いわけではないけれど、うるのはなんだか気にしてしまう。だけどそれは、尊敬であり、憧れであり…。普通の会社の上下関係とも違う技術者ならではの関係性も面白い。

    ひょんなことから本郷さんが転がり込んでくる。うるのは、「俺の持ってるものならぜーんぶ出すわ」と大金さえ貸すことにも躊躇いがない。気になるだけの人にそこまで思えるかな、と思うが、そこまで思うくらい本郷さんがうるのの心を占めていた。まだ若いのに500万も貯めてしまうくらいうるのには欲がなくて、無欲な彼がぜんぶ差し出してもいいと思うくらいやっぱり本郷さんの存在が大きいのだ。

    でもこの感情は何?と悩むうるの。すごく自然で素敵だ。そばにいてほしいけれど、身体ってそんなに大事かな?当たり前の疑問なのに、待ったをかけられた本郷さんを見ていると本郷さんの方が自然に思える。

    だけど彼らは技術者。彼らなりの論理と推量を持ってやがて答えに辿り着く。先に心が惹かれたけれど、心が繋がるにはちゃんと必要な工程がある。

    そこまで来てようやく、もっとくっつきたいという気持ちが形になる。BL慣れしていない私ですら、やっと!という気持ちになった。やっとだからこそ2人の前進を祝福したくなった。
    愛すべきサブキャラ、ねこみみ先輩がそんな2人とは対照的にいきなり、そしてすぐに結婚してしまうのも良い。2人なりの歩みが強調されるように感じた。

    最終話でようやく身体も繋げたけれど、それでもまだまだゴールじゃない。技術者にとって言語の学習に終わりがないように、人の関係もやっぱり終わりがない。
    こんな感じで2人はこれからも2人なりの関係を築いて行ってほしいなと、読後心がとても穏やかになれた。

    この後作者買いしたが、どの作品もとても良かった!