聖女の姉ですが、宰相閣下は無能な妹より私がお好きなようですよ?
渡邊香梨/甘塩コメコ
妹のせいで異世界召喚。貞操観念は大丈夫?
ネタバレ
このレビューはネタバレを含みます▼
主人公レイナは最高学府への進学を機に毒家族から逃れたのに、妹のワガママで異世界に召喚されてしまった。なんとか妹とは離れて暮らしたいために自分の能力を示して自立を目指す。召喚(誘拐)の負い目から主人公を支援していた宰相が惹かれて主人公を手離したくなくなる。
宰相が惹かれる流れも主人公の葛藤も丁寧に書かれているし、宰相が押せ押せになってからは恋愛度が上がっててトキメキ度もかなり高いと思います。微笑ましいイチャイチャとかイイ雰囲気が好きな人は楽しめると思います。
ですが、微妙な点もあります。恐らくこの世界の貞操観念がよくある異世界ファンタジー貴族社会に則っているなら、キスマークを首筋に散らしたまま人前に立つのははしたないだろうし、見せられるほうも気分のいいものではないと思います。ですが宰相の領下の人達は牽制がすごくて愛されていると受け止めていて、どういう世界観なのかなと思う。その変な匂わせ、牽制だけは、現代日本人の貞操観念の私は引いてしまいました。主人公がそれを許しているのがよく分からない。明確に気持ちに応えていないけどキスを許すのは二人の間の問題なのでまだ理解できるのですが、周囲にキスマークをアピールするのは牽制の手段としては下品だと感じました。
それにそこまで接触しててそれ以上手を出さない宰相すごいなと別の意味で感心します。
他の方のレビューでも書かれていましたが、実際に過去に起きた事故だと容易に想像できてしまうようなことが、登場キャラクターの現代での死因とされています。現代日本のリアリティを出したいのか、大学なども実在の大学と分かるような書き方をしています。しかしこういった犠牲者が存在している事故を、このような扱いをすることに違和感を覚えます。
そういった点を考慮して☆は減らしました。