初めて読んだ手塚作品です。これを読んで、手塚氏が神と謳われる理由を知りました。他の手塚作品もほぼ読みましたが、やはりこれが一番好きです。読み返す度にハッとし、ヒヤリとし、感動します。我が子にもいつか必ず読ませたい漫画です。
当時は中学
生だった私も、現在は医療関係の職に就いています。
ある程度の知識を得た今、描かれている治療法や技術、また薬品等は非常に古いこと、そして理論的におかしく、現実には不可能なことも描かれていると気付いてしまいましたが、そもそもフィクションですし作品の根底にあるものに比べたら笑えるくらい些細なこと。
注目すべきはBJ=手塚氏の生に対する真摯な姿勢、情熱、執念です。
作中には様々な命のドラマがあります。それに伴い様々なキャラクターが登場し、彼等が主人公である黒男と絡みながら、命とは何か、生きるとはどんなことか、様々な視点から投げかけてきます。中には救われない展開の話もいくつかあり、少年誌によくあるような、気持ちの良い読後感が必ずしも得られるとは言えません。
しかしその不快感や違和感こそ、人間が絶対に無くしてはならない、譲ってはいけない、守り抜かなければならない道徳で、倫理なのだと思います。
言葉で伝えるのは難しいそれらを漫画で、笑いやユーモアも交えながら描かれた正に傑作です。
価値観の乱れた現代、ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思います。
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