全8巻。
当初は、侍が現代に現れたら、という所にギャップを見せる展開。そして、実在した人物の名前にこちらが驚く。大河ドラマで記憶していた名前であっても、そこまで歴史漫画風でもなかったのにスポット当たるとは、とか、ストーリー長期化に伴って逆
に便利であって良かったね、とか感じる前までは、その人物を担ぎ出した事に作者の着想がすごいなと、単純に思った。しかし第二の人物楢崎氏に、武市の時ほどのいいところにヒットを打った感は薄れそうに。ただ、楢崎の順応性の高さに妙に納得感も覚えさせられた矢先に、もっと驚く第三の人物。伏線の第四の人物の匂わせは巧みに小出ししながらの、第三の人物をちくっとモンスター扱いにするのが、第1巻当初からはすっかり遠くに舟が漕ぎ出した印象で、武市氏とどう折合いを?との興味と、ちゃんと物語が収まるのか多少不安が頭をもたげた。
第三の人物も大河ドラマで初めて個人名を認識した位の私には、ストーリーの中で彼が暴れるのか慟哭でも見せつけられるのか、読み手としては気が気でなかった。
第四の人物を全く自由な設定年齢にしたのが可笑しい。楢崎もだが、時代への鮮やかな溶け込み具合は元の人物を髣髴とさせるも、やはり楢崎と共に脇に回ってもらっているのが、作品としての特色となって面白さを出した。
過去から現代へ人が、の発想自体はフィクションでは手垢ついた感、しかも、楢崎氏のキャラクターはその種の作品にはファンタジー的に利用される既視感。その上で序盤の武市氏の世界から随分とその時代の人物登場が膨らみ、普通の幕末物に堕しそうな危うさも。現代人達は見守り役と化し、ストーリーの前面にはあまり決定的には絡まなくなる。
8巻中の志士達の描写の配分は、第1巻読んでいる最中にはほぼないことから、連載長期化に伴う捻り出しと推し量れるも、途中時代遡りの場面の増加は「サムライ先生」のタイトルが多少ぼやける。
勿論、第三の彼にとっても決してズレは無いのだが、つじつま合わせを感じないこともない。
しかし、この世に思い残すことが沢山あったであろう、志半ばにして亡くなった人に言わせる、これはフィクションとしてスッキリしたい気持ちを代弁してくれてる作品。第四の彼は史実として奥様が美人の誉高いが、本作の現代での環境に複雑な思い。
第7巻後ろの魔夜峰央先生の絵のような扉風の頁や第8巻のそこの西洋風の絵、笑った。
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