仮面舞踏会で心惹かれる容姿に息を呑み、体を繋げてしまっただけでここまで執着し、ダニエラのプライベートエリアへ踏み込んでくるニコロの気持ちが私には理解できなかった。ダニエラが言う通り、舞踏会では楽しめば良い程度の事ではないのかとトキメキよりも疑問のほうを強く感じる。そもそも、2人はなぜいがみ合っているのかも、疑問の一つであるが、布石としても、今夜だけは立派なニコロでなくてもいい、というのにも彼にだって苦悩はあると思わせているだけに留まっていて何だか腑に落ちないのだ。だが、確実にニコロのなかに愛はあって、一途にダニエラに向けられて諸問題に立ち向かっていく姿勢には熱く心躍るものはある だけれど、前夫とのことを色濃くする必要は無い気がして、どうにも物語にのめり込んでいけない歯がゆさのまま終わっていた。