親しくしていた幼馴染みの男友達との仲を何度もどう説明しても全く信じなかった彼。
それに、立派なパワハラ。社内で社外で、内心に本気があっても、ヒロインの本心を確認せず寧ろ誤解した上での行為、さすがに不味いと思う。お話なのだけれど。
雇い入れのときも、能力面の評価があった上での最終の社長面接による決定があり、仕事でトラブル収拾なども解決まで力を発揮しているから、それでいて、自分の気持ちを伝えることも相手の合意もなく何度もプライバシーエリア内密着、つまり、肝心な、自然発展的男女関係なのか強要があるのかの区分のプロセスがない。
マシューが背後に抱く好意も、ヒロインが秘めてきた想いも、両方あるから許される、というものではないだろう。
それも、お話だから。
と、何歩も譲ってそんな風に片付けようとするなら、これは、コメディとして楽しめる。
ただ、実際会社の公的な空間で、社内の人間たちが見ているのも構わずあんなにイチャイチャするのは、誰とであっても、仕事場として、そうした光景は受け入れられないと思うが?
マシューにヒロインと幼馴染みとの間柄を嫉妬させる親しさが、悪びれること無く見せつけられたとして、それは現実に社内で噂に上った。社長のみならず他の同僚たちにも誤解されるほどであるなら、やはり、間違ったことはしていないと、胸を張るのではなく、誤解を招く行動はお互い自制しようね、とすべきものだろう。
一連の「?」の数々はさておき、彼はヒロインが言うまで本心を秘めている。
それは、男性に期待される堂々とした積極性を欠いた姿勢に見えてしまう。
カモフラージュ行動に出る目的が別にあったとはいえ、行動と気持ちの表明が、決定的に順序逆転している。
女性の眼がたまに横顔のなかで大きいので、ヒロインが成熟した女性に見えづらい。
最終ページのコマにある言葉も、幼い感じがする。
ただ、「もう引き返せない」、といって一線を越えた描写は良かった。何度も何度も越えかかっては引き返したことを経て、という意味でも盛り上がる。
HQコミックスではベッドシーンは生々しさなと一切不要なくらいに思っている。この作品のマシューが、今まで引き返した経緯とともにそれでも描きすぎず、ついに、との表現が効いて美しいと思う。
これこそ蛇足だが、それから、高額でない価格で何でも依頼に出せる洗濯サービスがNYなら有ると聞く。