藍染をテーマに描かれたblがある~!?と、この作品を見つけた時は嬉しくて興奮しました。
作者様のお母様が染色家である事、とある藍染工房を参考にされたとの事ですが、おそらくあそこの工房だろう(私も見学に行ったことがある)とすぐにピンとくる程、確かな画力で本当に隅々までリアルに描かれています。両面型付けや藍染についての説明はほどほどにしておいて、しかし描写はかなり的確であり…そこに作者様の伝統工芸の世界への敬意と理解が感じられました。1ミリのズレもない様に、整然と並んだ紋様を繋ぎ合わせ続ける仕事を人生と重ねて生きてきた職人にとって、義兄弟とどの様な関係になればいいのか、そこに正解は無いように思えます。どこまでいっても満足する事の無い職人の仕事と同じように、静かに時間をかけて…時には悩みながら進んでいくしかないのだと感じる終わり方でありました。
ラブ展開での高揚を求めている人には物足りなく感じるかもしれませんが、このテーマをよくよく生かした素晴らしい作品だと私は思います。
表題作以外に短編が二話あります。
プールでのお話を読んで、この作者様は息苦しさを表現するのが巧いのだとハッとしました。
重い…重いなぁ~と感じるのは、静寂の中で、作品に引き込まれ、読み手も息をするのを忘れているからかもしれない。