面白いと書いたのは、彼バイロンの恋物語としての面白さであり、ヒロインクーリオのロマンスとしては泣ける話でもある。本当に幸せな未来の到来を確信させて、バイロンが余計素敵に見えてしょうがない。
途中、過去のシーンは読んでるこちらもクーリオを救い出したい気分だった。
バイロンはええカッコしいで、ワンちゃんのマンゴを救ったけれど、本当に救い出されたのは寧ろクーリオのほう。
そして、義母ドリーンも間接的に幸福を見つけるとっかかりを拵えた。
やな奴は死別で良かった。なんで自由の身の上だったのに、縛り付けのように指輪を?
それがヒロインの結婚に対する否定的な姿勢と一体のアピールだろうけれど、辛かったのでしょ? ならばいつまでも思い出してしまう(自分を二度と結婚の過ちに向かわせないための戒め?)物から離れたくならないの?
結婚経験者がもう結婚はしないという理由なら二通り。前の人への貞操か結婚に懲りたかの。
ともあれ、伊達に数々の女性と付き合って来た訳ではないバイロンの眼力は素晴らしい。
途中何度も、彼の可愛いところに悶えさせられた。本人の一喜一憂が楽しい。恋って素晴らしいよね(当人は辛さもあろうが)と、そんな気持ちにさせられる、バイロンサイドのストーリーとして面白いのだ。婚活の成功おめでとう、とバイロンに向かって言ってあげたくなる。勿論二人に、の気持ちなのだが。
シリーズの先行作品である人形の花嫁のほうに出ていた社長が、お花畑と評されている辺り、読んでいたから楽しめる、というところ。
クーリオのどんどん綺麗になっていくところ、視覚に訴える判り易さでしっかり表現されていた。(主人公でない次作では戻る)
ドリーンの変化に至っては、只の脇役キャラが準主役にふさわしく。しかもタイミング面ではハーヴィーは変化前に彼女を見出だして。
言葉よりも感情がほとばしり出る抱擁シーンも、上手く盛り上がりが演出されていて良かった。
なかなか踏み出せないクーリオへ、二人の女性サラとグレースの強力な支援と、悪意無しに心理的足止めになっていたドリーン当人からもその楔が除かれて、あれだけ慎重だったのに、とそこも劇的に。最初から結婚結婚で押してるバイロンではなく、そこまでにしたのはヒロインクーリオ、という筋運びが、過去のトラウマを彼女が断ち切った感がよく出て、こちら読み手にひとやま乗り越えた気分にさせてくれる。