ヒロイン(伯爵令嬢オパール)は、16歳の時、暴行未遂の被害者になり、被害者であるにも関わらず社交界の醜聞となり辛酸を舐めます。19歳の時、斜陽の公爵家と政略結婚。夫(公爵ヒューバード)は世間の評判を鵜呑みし、冷淡な態度。そればかりか妻の立場にあたる部分を幼馴染みの女性(ステラ)に許し、ヒロインを苦しめます。ヒロインはこの逆境をどう乗り越えるのか?という物語です。
【公爵ヒューバード】26歳。立派な成人男子でありながら、世間知らずで、未熟過ぎる。浅慮。思いやりにも欠ける。いいとこなしな人物です。ただし地位が高く、彼の破滅は使用人や領民を巻き添えにするのが厄介。
【幼馴染みステラ】論外。話にならないレベル。短慮で利己的。世話になっている公爵家に正妻が来たのに、わきまえません。それどころかヒロインに全権を掌握されてからも、自分の置かれた立場を理解出来ません。感情的でヒステリック。一貫して無知で愚かです。
【ヒロイン】16歳の被害から、ずっと辛酸を舐めます。しかし、自分を奮い立たせ、胸を張り、自分の出来る事を尽くします。レビューでは可愛げがないと一部で不評でしたが、素晴らしく孤高の人だと思います。
●さっさと公爵家を見限る事も出来ましたが、犠牲になる領民を思い、踏みとどまり泥水をすする様な努力をします。為政者として立派です。
●不当に蔑む態度を見せた使用人、横領を働いた管理人、何より屈辱を与えられた幼馴染みとその母親など、苛烈な断罪を与えたければそうできるにも関わらず、そうしません。適切な罰は与えるものの、再活用します。幼馴染みとその母親に至っては無罪放免。所詮、何も持たない弱者で、取るに足りない相手と判断した為でしょう。度量の大きさを感じます。
●未熟で愚かに見える夫を、意に反して支え続けます。詐欺すれすれの行為で、公爵領を自分名義に変えて時間稼ぎをし、その間に自身の父親に夫を鍛えてもらいます。3年経ち、やっと成果が見え始めた矢先に、夫は誰も手を出さない難しい事業に、相談なく不正な手続きで出資。またもやピンチが訪れますが、歯を食いしばり支援を続け4年。事業が成功し始め、果実がこれからという時に離婚。無欲で潔い。よほど嫌だったのでしょう。未練が微塵もありません。
大物の政治家、事業家であるかの様なヒロイン。可愛げはないですが、報われて幸せになって欲しいです。