ネタバレ・感想ありぱらいそのレビュー

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すごい感性の作家さん、衝撃を受けました。
2025年5月7日
びっくりしました。
すごい作品ですごい感性。人間の良心、罪悪、習性、変容、発展、その全てを無にする力の中からの再びの生。舞台は、原爆投下前後の長崎のように感じました。
私の少ない語彙ではとても表現できない作品です。人間の様々な部分、そして個人ではどうしようもない部分。様々な人間の要素が凝縮された作品。
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白よりも眩しい色
ネタバレ
2021年10月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み放題。
マチ子先生戦争3部作完結編。

これまでの2作に比べ、更に無駄な説明は省かれている。
しかし、前作を読んでいると読み取るべきメッセージは少しずつ浮かんでくる。相変わらず繰り返し読み返したけれども。

罪とは何か。
爆発した瞬間の白。


盗みを犯す右手は罪か。
敵は誰だ。
天国はあるのか。
誰も死なせないと誓った少年は
多くの人を殺して帰ってきた。
それは罪か。
少女は己の罪を浄化するかのように食事を拒み
白を汚した初潮を忌み嫌う。
しかし少女は黒を得て命を吹き返したかの様に走る。

少年の代わりにハガキを描いた少女は罪か。
罪を消し去る様な白い絵の具は爆弾となる。
全てを壊した原爆の白は罪なき白か。
生きるために盗んだ右手は罪か。
黒く焼け焦げた街や人々は罪か。
自らを真っ黒だと言った少女は
最後まで生きる事に懸命だった。
良きものになりたいと願い
白い絵の具に手を伸ばした右手は罪か。

良きものとは何か。
全てに白と黒が存在し
罪と天国が混在する。

罪なき場所も、罪だらけの場所もない。

過去を辿っても、そこには同じ様な未来。
私たちはあの時、全てが散らばり混ざり合い
濁ってしまった世界を経ても、
同じような罪を今も繰り返す。

現実から逃げた先に天国などない。
今日を生きることは白でも黒でもない。
白く輝く光の陰には黒が光る。

そこに天国は無いと知りながら、
それでも白を手放さない灰色に濁った体は
ただひたすらに強く眩しい。
美しくて悲しく汚れた先に
ネタバレ
2020年12月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ パライソはどこにあるのだろう。

今日マチ子が描く世界は、白い絵の具の濁りのように、塗りつぶされた原爆の長崎と青春の罪と罰。
自罰で大事な何かを差し出して、失うことでしか許されない世界。

その救われないやるせなさは、きっと今も変わらない。
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