このレビューはネタバレを含みます▼
読み放題。
マチ子先生戦争3部作完結編。
これまでの2作に比べ、更に無駄な説明は省かれている。
しかし、前作を読んでいると読み取るべきメッセージは少しずつ浮かんでくる。相変わらず繰り返し読み返したけれども。
罪とは何か。
爆発した瞬間の白。
盗みを犯す右手は罪か。
敵は誰だ。
天国はあるのか。
誰も死なせないと誓った少年は
多くの人を殺して帰ってきた。
それは罪か。
少女は己の罪を浄化するかのように食事を拒み
白を汚した初潮を忌み嫌う。
しかし少女は黒を得て命を吹き返したかの様に走る。
少年の代わりにハガキを描いた少女は罪か。
罪を消し去る様な白い絵の具は爆弾となる。
全てを壊した原爆の白は罪なき白か。
生きるために盗んだ右手は罪か。
黒く焼け焦げた街や人々は罪か。
自らを真っ黒だと言った少女は
最後まで生きる事に懸命だった。
良きものになりたいと願い
白い絵の具に手を伸ばした右手は罪か。
良きものとは何か。
全てに白と黒が存在し
罪と天国が混在する。
罪なき場所も、罪だらけの場所もない。
過去を辿っても、そこには同じ様な未来。
私たちはあの時、全てが散らばり混ざり合い
濁ってしまった世界を経ても、
同じような罪を今も繰り返す。
現実から逃げた先に天国などない。
今日を生きることは白でも黒でもない。
白く輝く光の陰には黒が光る。
そこに天国は無いと知りながら、
それでも白を手放さない灰色に濁った体は
ただひたすらに強く眩しい。