家族のつもりで接してきたから、終わったらもとの家族に戻れるか心配なヒロイン。契約婚で初めて互いのことを明確な結婚対象として見たときに、二人は意識が表に出るようになったが、突っ走ったりするほどヒロインは夢見がちでない。
友達から愛へのスイッチ、異性としての意識への定着化に戸惑いながら根底にあるその意識が新しいものでもなく、揺れる気持ちを掬い取りながら、友情に戻しておきたいヒロインが、彼と前進できるまでの行程を見届けさせてもらった。
なかなかそこに簡単に飛び乗れないヒロインの家族観が辛いが、彼の家族に救われる。いい作品。
愛してる、と、ヒロインが気づくコマに同調できて楽しめたのと、彼のお母さんがヒロインの潜在的な彼への想いに気づいてやっているところの、冷静ながら暖かい観察にこの作品の良さが表れている。
ただ、人物のところに、もう少し、うるさくはない程度に背景が描かれていて欲しかったのと、ここにセレブ感は不要であるからファッショナブルな必要もないが、主要人物の服装が、もう少しやや見て楽しむ要素があると良かった。