シリーズ三作目。シリーズと言ってもガッツリスピンオフという感じではなく、メインカプだったりサブキャラだったりが、ほんの少し出てくる程度なので、今作だけでも問題なく読めます。今回は、タイトル『愛なら売るほど』からして秀逸で心をグッと捉えられましたが、小説中の小説のタイトル『さようならを、三回』にも感動しました。「この世に愛なら売るほどあるけれど…」意味深長なセリフから始まり、「愛を信じない」男、「愛を諦めた」男たちが、「真実の」「たった一つの」愛に気付き手に入れるストーリーです。根底には真剣で深いテーマがあるのに、漫画のキャラを通すことでギャグ調の明るい話になっていて、笑いも涙も取っていくその辺の匙加減が絶妙で、読後感が最高でした。シリーズを経るごとに作品の完成度が上がっていくのを感じます。この後シリーズ4・5と続きますが、1つ気づいた事があります。シリーズとは言え、登場するカプによってイラストの先生が違うという事実。シリーズ1と5が同じ先生で東海林×ルコちゃんの話。後はそれぞれに違うイラストの先生で別カプの話と見分ければ良いと気付きました。