澄が少女漫画好きで夢見る乙女なところと、「運命」という言葉が効いていて、そこに幼なじみの公や妹の絡ませ方がうまくて、さすがだなーと感じました。楡の元カノ涼香がサバサバしているようでいて本当はそうじゃない、とか、理想のカップルに見えていた妹と公にも結婚を前に思うところがある、とか、BLに終始してなくて、いろいろな人にいろいろな気持ちがあっていろいろな人生を精一杯生きている、と思わせるお話でした。「運命」の相手がいたらそれはすてきですが、そんなものは存在しないということを現実を生きる私たちは知っていて、でも「運命」じゃないから理解したり誤解したり忙しくて、そのもどかしさごと愛しいのかも、とちょっと思ったりしました。「運命なんて、真子を傷つけていいほど大層なものじゃない」という男前なセリフを脇の公に言わせちゃうんです。BLってことを忘れてキュンとしちゃいました。こういう作家さんだから、一般誌に行ってしまったんですかね。一穂さん、またBLに戻ってきて・・と切に願います。