全117ページ。「コンビニ人間」という摩訶不思議なタイトルに「どういうこと?」と思って手に取りましたが、まごうことなきコンビニ人間でした。その徹底ぶりが凄まじい。主人公はちょっとズレて生まれてきて、世間一般の枠に周りが当てはめようとしたり、自分を当てはめていこうとするんだけれど、そうやって適合できたのが普通の人、ではなくコンビニだったということですよね。身近な人達も「いるいるこういう人!」とうなずきたくなるような人ばかり。ズレた主人公が終始淡々としていて、ドラマチックな悲壮感や高揚感がないからこそ余計に、社会全体や現代人の生き方についての疑問を浮き彫りにしてくる。短いお話なのに、強烈なインパクトを残すユニークな物語でした。