小中大豆先生の小説を読むのは2冊目です。
昨年、笠井あゆみ先生のイラストに惹かれて、『気難しい王子に捧げる寓話』を読みました。そして、先生の他の作品を探していたところ、この本に出合いました。
私は、イラストが自分の好きなイラストレーターでないと読まない、我儘な読者なのですが、試し読みをしてみたところ、この小説に出てくる【春野政隆】氏が甘味好きで主人公を甘味処に誘うくだりが、私の好きな小説の登場人物を思い起こさせたので、電子書籍版を購入して読んでみました。
主人公の〖清水龍郎〗は逆境にも負けずに、困難な時にも機転の利いた発想で物事を好転させていける頭の良さがあります。性格も穏やかですが、負けず嫌いなところがところどころ見受けられて可愛げがあります。彼の見た目の綺麗さだけではなく、そんなところも、【春野政隆】氏にとって、出会った最初の時から彼が印象に残って気になる存在になったのでしょう。
【春野政隆】氏の甥の〖珠希〗を、〖龍郎〗が気にかけて心を砕いて、悪い人から守っていたことも、〖龍郎〗の好感度を上げることになっています。
龍の字がその名前に入っている〖龍郎〗ですが、天がける龍のように心が自由で性根の美しい彼にふさわしい名前です。
【春野政隆】氏も、生い立ちは不幸ですが、人間的に優れているので、〖龍郎〗のような可愛い人に出会えたのでしょう。