「花降る」の中で、アイデースが大陸の盟約を破ってロシェレディアを攫って皇妃にした、とさらっと表現されていた裏にこんな物語が隠されていたなんて。ロシェ10歳、イスハン14歳の出会いからロシェがアイデースに輿入れするまでが特に素晴らしく、読む手が止まらなかった。ただひと時出会ってすれ違っていくだけだったはずの2人が、一緒に生きる運命が訪れた瞬間を逃さず掴んだ、その若さ故の無謀さ潔さが美しかった。後宮のくだりはラノベに不要という見方も勿論あるが、ロシェが皇妃であることにどこからも文句を言わせないための必要悪だったのでは?途中前半の疾走感がやや途切れた感はあるものの、yoco先生の挿絵も世界観にぴったりで本当に美しかった。「花降る」シリーズ3作大好きだが、個人的にこちらはそれ以上かなと思う。ロシェが身体を失う話があっても読むのが辛いので、リディルたちと協力して身体を取り戻すお話を是非読みたい。