シリーズ4作め、完結です。シリーズ1・3作めの国王レオンハルト(第一王子)とは異母兄弟で、2作めのクラウスとは従兄弟の第3王子ユリアンの話でした。正直、過去3作では登場回数も少なく印象薄めでした。お相手もスパダリorキラキラ系は出し終わった感がありますし…そんなこんなでCPとしては、新鮮さ華やかさはおとなしめだったと思います。でも、その分をユリアン自身と脇キャラ達の千差万別の小ストーリーが入り混じり、結局は、万華鏡のように次々と見え方が変わる色鮮やかな人間模様が素晴らしかったです。
今回のストーリーは、ユリアンの恋以外にも成長記録のような側面があり、両方を丁寧に追っていたと思います。特に心の成長はめざましく、誰が見てもユリアンの境遇には同情してしまうし、健気に頑張る姿は立派で決して非難されるものではないと思うんです。そんな八方塞がりの状態が思いがけず好転して望むものが手に入ったら?普通なら「めでたしめでたし」で終わる気がします。でもユリアンは、現状に甘んじることなく己を顧みて反省し「問題は自分にあった」と気づきを得るんですよね。恥ずかしながら、私には全くない考えだったので、本気で勉強になりました。失礼ながらシリーズ中、特段の能力もさしたる功績も目立つこともない、最年少の彼から人として大切な事を学んだ気がします。
脇キャラ達の様々なストーリーの中でも、特にルイーザのお相手探しは気になって仕方なかったです。ストーリー的には枝の枝、全くもって大勢に影響なしと分かっていても、いつも頭の片隅にある感じで、地味に思考力を取られて楽しかったです。