読み始めてすぐから薄々「面白さの一番の要素はギャップかな」と思ってはいましたが、これが想像以上に激しくて笑ってしまいました。冷酷な王子のイメージとは反対に、やたら動揺しやすく素直な反応をするヒサギ…侍従のクサバにツッコミを入れられる度に「はっ」とか「む」とか、心の声がダダ漏れなのが楽しいです。
鈍感で一生懸命なカナンも可愛いくて、恋を現象だと思っている(つまり経験はおろか聞いたこともない感じ?の)初心さが堪らない。それなのに夜のテクニックは仕込まれているという妙な極端さも初々しくて愛らしにキュンとしました。
カナンの努力の方向性が…間違ってるわけではないんだけど、でも明らかに、そして大幅にズレていて、それもこれも下手したら「あざとさ」を感じそうなものだけど、そういう嫌な感情は1ミリも芽生えず、ただ応援したくなるような可愛さしかありませんでした。
誘い受けと襲い受けの両面がある、ニュータイプの受け(カナン)とヘタレ攻め(ヒサギ)の攻防がトンチンカンで、でも好きが溢れていて楽しいです。ヒサギとクサバの言動は、熟練のお笑いコンビみたいで面白かったです。全体的に外で読めないくらいにニヤニヤしながら読みましたけど、従者らしからぬクサバの受け答えには吹き出してしまったほどです。