古い昭和の住宅、音質のいいプレーヤーから流れるいろいろなジャンルの音楽、丁寧な食事風景、カーテンから洗う大掃除・・と、日常の様子を読んでるだけで気持ちいい。ここにBLが絡んできて、最高か!という本でした。全力で外面を整える八木兄のザマァがもう少し欲しかった(小糸と八木のラブラブな様子を見て歯ぎしりする程度のやつでいいので)ですが、ふんわりした小糸に引きづられている八木は、最早兄の鼻をあかすことはどうでもいいことになったんですね。シェアハウスの住人が、大学のキャンパス移転のせいで希望者がいなくなり、結果小糸と八木の二人きりになるという展開もおいしすぎる。少なくとも火事や水漏れで片方が転がり込んでくる展開よりは自然で好き。途中、大家の息子、服部(仮)が登場したときは八木兄を超えるストレスになりましたが、結末にもびっくり。八木の「小糸を大切にしたい」思いと、本来の腹黒なところが行ったり来たりするのもすごく好きです。もう「うまい」としか言いようのない作家さんですね。