この二人はさっきすれ違った二人かもしれないと思わせる、いい意味で現実感のある話だった。
校正という踊場の職業も物話の彩りだけでなく、ストーリーの中に自然と散りばめられ、かといってお仕事漫画のようにがっつり描かれているわけでもなく、いい塩梅だなと思った。
失恋した踊場が南の島で出会った大学生の弥生と再会し、売り言葉に買い言葉な感じで始まった関係はゆっくりじわじわ変化していき、ゲイとノンケながら必要以上に拗れさせたりせず、弥生と踊場それぞれが新たに出会った男性も当て馬や横恋慕要員ではなかったところもこの作品に合っていて良かった。
3巻という長さを考えると起伏に乏しい感じがして物足りなく思う人もいそうだけれど、穏やかな気分になりたいときにお薦めな作品。